第1部: 初期のインターネット

2024年2月18日

1960年代から1980年代の初期にかけてのインターネットの歴史は、その後の情報社会の基盤を築いた革新的な時期でした。この時代のインターネットは、まだ「インターネット」という名前では知られておらず、主に研究目的で使用されていました。この段階での主要な出来事と技術的進化を見てみましょう。

1960年代：ARPANETの誕生

インターネットの前身であるARPANETは、1960年代にアメリカ国防総省の高等研究計画局（ARPA）によって開始されました。このプロジェクトの主な目的は、核戦争のような大規模な災害が発生した場合でも、軍事ネットワーク上で通信を維持できるようにすることでした。

1969年10月29日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）からスタンフォード研究所（SRI）へ、最初のARPANETメッセージが送信されました。この簡単なメッセージは、”login”という単語でしたが、完全には送信されず、最初の2文字”lo”のみが成功しました。この小さなステップが、インターネットの歴史の始まりを告げるものでした。

1970年代：技術革新とプロトコルの発展

1970年代には、ARPANETは急速に拡大し、多くの大学や研究所がこのネットワークに接続されました。この時代の重要な進歩には、以下のようなものがあります。

TCP/IPの開発: Vint CerfとBob Kahnによって開発されたTCP/IPプロトコルは、異なるネットワークが互いに通信するための標準方法を提供しました。1983年1月1日、ARPANETはTCP/IPプロトコルに完全に移行し、これが現代インターネットの基礎となりました。
電子メールの導入: 1971年、Ray TomlinsonがARPANET上で最初の電子メールプログラムを作成しました。このプログラムは、人々が異なるホスト間でメッセージを送受信できるようにするもので、インターネット上で最も早く普及したアプリケーションの一つとなりました。

1980年代：インターネットの概念と普及

1980年代に入ると、インターネットという概念が徐々に形成され始めました。この時期の重要なイベントには以下のものがあります。

ネットワーク間の統合: TCP/IPの導入により、異なるネットワーク技術を使用する複数のネットワークが互いに通信できるようになりました。これにより、真の意味での「インターネットワーク」、すなわちインターネットが誕生しました。
ドメイン名システム（DNS）の導入: 1984年には、インターネット上のコンピュータを識別するためのドメイン名システム（DNS）が導入されました。これにより、数値のIPアドレスではなく、覚えやすい名前でホストにアクセスできるようになりました。

この時期、インターネットは主にアカデミックな用途で使用されていましたが、その基盤技術は今日私たちが利用しているグローバルなネットワークの礎を築きました。この時代の技術革新は、インターネットがどのようにして社会に不可欠なツールとなったかを理解する上で非常に重要です。

まとめ

初期のインターネットの歴史は、1960年代の冷戦時代に始まり、アメリカ国防総省の高等研究計画局（ARPA）によって開発されたARPANETからその起源をたどります。1969年には最初のメッセージが送信され、これがインターネットの始まりとされています。1970年代には、TCP/IPプロトコルが開発され、異なるネットワーク間の通信を可能にしました。このプロトコルの採用により、1983年にはARPANETがインターネットへと移行しました。電子メールの導入やドメイン名システム（DNS）の開発など、この時期の技術革新は、後に一般家庭やビジネスで広く利用されるインターネットの基礎を築きました。1980年代に入ると、インターネットは学術界を超えて普及し始め、現代のグローバルなネットワークへと発展していきました。